シャンパーニュの巨匠、日本酒の未来へ。

FEATURES
シャンパーニュの巨匠、
日本酒の未来へ。
リシャール・ジョフロワが人生をかけて醸す、純米大吟醸 IWA 5。
「日本酒の世界に、新たな風を吹き込みたい。」
そう語るのは、世界最高峰のシャンパーニュブランド ドン ペリニヨンで28年にわたり醸造最高責任者を務めたリシャール・ジョフロワ氏。
その名は世界のワインラヴァーなら誰もが知る存在。
彼が次に選んだ挑戦の舞台は、意外にも「日本酒」でした。
フランス人でありながら、日本の発酵文化と美意識に深い敬意を抱いていたジョフロワ氏。
彼はこう考えました。
「日本酒にも、ブレンドという表現の可能性があるのではないか。」
日本酒は通常、単一の米・酵母・タンクで仕上げられます。
しかしシャンパーニュの世界では、異なる原酒を巧みに組み合わせる「アッサンブラージュ(ブレンド)」という哲学が根づいています。
その技法と感性を日本酒に持ち込み、奥行きのある旨み、複雑な香り、食と調和する酒を生み出す。
それこそが、ジョフロワ氏が富山県に設立した酒蔵 IWA の挑戦です。
選ばれたのは、豊かな自然に恵まれた富山。
澄んだ水と選び抜かれた米、そして優れた蔵人たちとの出会いが、彼の夢を形にしました。
こうして生まれたIWA。
それは、和洋の垣根を越え、料理とともに楽しむための新しい日本酒です。

和の料理と和風キャビア、
IWAが紡ぐ新たな味覚の共演
そんな IWAの新しい可能性を象徴する場が、先日開催されました。
京都吉兆 にて催された特別な宴席——
テーマは「IWA × 日本料理 × ジャパンキャビア」。
世界的醸造家リシャール・ジョフロワ氏と、日本料理界を代表する徳岡邦夫氏(京都吉兆 総料理長)がともに提案した新たなマリアージュ。
その舞台裏では、当社 ジャパンキャビア社もまた、ひとつの挑戦を進めていました。
徳岡氏と対話を重ね、京都吉兆が愛用する利尻昆布や醤油からヒントを得て、昆布醤油に漬け込んだ独自の和風風味のキャビアを開発。
通常の塩と熟成だけでは得られない、和の旨みをまとった新たなキャビアです。
しかも、キャビアの熟成には数ヶ月という時間を要するため、最適な味わいを見つけ出すまでには多くのパターン検証と長い時間が必要でした。
まさに職人たちの粘り強い探求心の賜物です。
そして迎えた宴席当日。徳岡邦夫氏はこう語りました。
"これほどたくさんのキャビアを料理に使うと、過剰になり、料理全体のバランスを崩しそうなものですが、そこは旨みにこだわったキャビアなので、どの料理にもキャビアが寄り添い、IWA 5と合わせると、味わいの輪郭がはっきりと浮かび上がり、見事なペアリングとなった。"
さらに、ジョフロワ氏自身もこう述べています。
"キャビアは日本酒の方が合う。ワインよりはるかに。"
これは、長年シャンパーニュの世界に身を置いた彼だからこそ言える言葉。
実際、IWAの柔らかな旨みと酸は、和風キャビアの繊細な塩味と旨みに寄り添い、互いの魅力を一層引き立てる。
ワインの酸がキャビアの塩気を際立たせてしまう一方で、日本酒はその旨みをふくらませ、口中に優雅な余韻を残す——。
参加者の誰もがその驚きと悦びを共有したのです。
「フランスと日本、海と山、伝統と革新が交差する一杯。」
IWAとジャパンキャビアがもたらす新しい日本酒体験は、今まさに広がりつつあります。